低次元・非周期構造構造チーム

研究概要
低次元・非周期構造チームリーダー

今井 康彦

低次元・非周期構造チームでは、BL04B2, BL13XU, BL28B2 の3本のビームラインにおいて放射光利用実験の支援、実験装置の高度化、新しい実験手法の研究開発などを行っています。各ビームラインでは次のような高度化を行っています。BL04B2(高エネルギーX線回折ビームライン)では、一軸音波浮遊装置を導入し室温から800℃の低中温無容器実験の環境構築を進めています。BL13XU(表面・界面構造解析ビームライン)では、非対称分光結晶を利用した高フラックス光学系の構築、マイクロビーム回折装置の高度化、ナノビーム回折・散乱計測基盤の開発を行っています。BL28B2(白色X線回折ビームライン)では、エネルギー分散型X線回折顕微法を用いて実用材料内の応力分布を測定するシステムの開発を行っています。

研究・開発成果

研究成果

BL04B2

ガラスにならない液体の原子・電子構造解明(2014年12月 JASRI小原真司(現在の所属:国立研究開発法人 物質・材料研究機構)無容器炉と高エネルギーX線回折実験より、ガラスにならない液体の原子配列は非常に壊れやすく、電子が動きやすい状態であることを解明しました(プレス発表)

BL13XU

BL13XU実験ハッチ下流に恒温実験ハッチ(第4実験ハッチ)を増設し、第3実験ハッチで超高真空表面X線回折装置とシェアしていた高分解能マイクロ回折装置を第4実験ハッチに移設しました[1]。図1に増設した第4実験ハッチの写真を示します。サイズは幅3 m,長さ4 m,高さ3.3 mで、第3実験ハッチ下流側から1.3 mの位置に増設しました。実験ハッチ内の温度変動は0.1℃/日以内に安定化されています。更に、高分解能マイクロ回折装置に改造を実施することで、より安定的に100 nm程度のビームを利用できるようになりました。サブミクロンオーダの空間分解能を有し、かつ直接的に歪構造を観察できるマイクロX線回折装置を使用した実際の研究例として埋め込みGe1?xSnx/Ge微細構造内部の局所歪評価[2]の結果を図2に示します。

図1 増設した第4実験ハッチの写真

図2 細線幅25~60 nmのそれぞれの細線を横切るように50 nmステップでX線マイクロビームを走査して得たGe004およびGeSn004 Bragg反射の回折プロファイル

参考文献
[1] S. Kimura, Y. Imai and H. Tajiri, SPring-8/SACLA Information, 20 (2015) 246.
[2] S. Ike et al.: Appl. Phys. Lett. 106 (2015) 182104.

開発成果

BL04B2

従来の無容器炉(800℃から3000℃の高温加熱実験)に加え、一軸音波浮遊装置を実験ハッチへ導入し室温から800℃の低中温無容器実験の環境構築も進めています。

図2 一軸超音波浮遊装置の写真(左)とスチロール球と水を浮遊させた写真(右)。

BL13XU
非対称分光結晶を利用した高フラックス光学系の構築

分光結晶表面をオフセット加工すると、動力学的回折効果によって分光結晶に対する入射ビームと出射ビームの回折幅(受け入れ角度幅)が変化します[1]。この効果を利用して非対称反射により受け入れ角度幅を広げると、より広いエネルギーの光を一度に分光することができます(ワイドバンド分光)。図2(a)に配置図、図2(b)に対称面および非対称面が利用できる三面一体型のSi(111)分光結晶、図2(c) に従来の光学系と高フラックス光学系のフラックスを比較したグラフを示します。それぞれ、青色の丸(1次光)と緑色の丸(3次光)が平行面の、赤色の四角が6°off面(1次光)の、ピンク色の四角が4°off面(3次光)のフラックスの実測値です。非対称面を利用した場合、対称面に対し最大2.5倍の強度利得が得られました。これまで、非対称結晶を用いたワイドバンド分光は、高い耐熱負荷性能が要求される第三世代放射光光源、とりわけアンジュレータ光源のX線分光ではほとんど報告がありませんでしたが、本高度化でその有効性が確認されました[2]。

図1 (a) Si 111非対称二結晶配置。(b) 結晶ホルダにマウントされた対称・非対称一体型分光結晶の外観。(c) 従来の光学系と非対称結晶による高フラックス光学系のフラックスの比較(実測結果)。

参考文献
[1] K. Kohra et al., Nucl. Instrum. Meth., 152 (1978) 161.
[2] H. Tajiri and Y. Imai, SPring-8/SACLA Research Report Section C, 3 (2015) 145.

マイクロビーム回折装置の高度化

屈折レンズによる30 keVの高エネルギーX線の二次元集光試験を行いました。得られたビームプロファイルを、図3に示します。半値全幅(FWHM)で、水平、垂直方向共に1.8 μmまでビーム集光できています。集光位置のフラックスは 2.5×109 ph/sであり、同装置の一般的な回折実験に必要な要件を満たします。本高度化で高エネルギーX線を利用したマイクロビーム回折が計測可能となりました。さらに、同装置検出器を最適化するために、1次元マイクロストリップ型検出器MYTHEN(DECTRIS社)を導入しました。積分型のX線CCD検出器とは異なり、単一光子計測型の検出器であり、読み出しノイズや暗電流が無いことが特徴です。図4に比較可能な測定条件のもと、同程度の測定時間でMYTHENと従来のCCD検出器で測定したSi 004の逆格子マップを示します。MYTHENはCCD検出器に比べてダイナミックレンジが広く、強度比の大きく異なる逆格子マップを高いS/N比で測定できています[1]。

図2 屈折レンズで集光した30 keVのX線のナイフエッジ法によるビームプロファイル(a) 水平方向と (b) 鉛直方向。ビームサイズはローレンツ曲線によるフィットから算出。

図3 Si 004の逆格子マップ (a) MYTHEN、(b) 2次元X線CCD検出器による測定結果。

参考文献
[1] H. Tajiri and Y. Imai, SPring-8/SACLA Research Report Section C, 3 (2015) 145.

メンバー

ナノ構造物性低次元・非周期構造チーム
  • 主幹研究員 今井 康彦(チームリーダー)
  • 主幹研究員(技術担当) 梶原 堅太郎
  • 主幹研究員 尾原 幸治
  • 研究員 田尻 寛男
  • 研究員 隅谷 和嗣
  • 技術員 Bagautdinov Bagautdin
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